恋愛についてネットで調べると「相手を追いかけさせる方法」「依存させるテクニック」といった記事をよく目にしますよね。駆け引きをして相手をコントロールすれば、自分のことを好きにさせられる。そんな情報が溢れていて、つい試してみたくなる気持ちもわかります。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてほしいのです。そういったテクニックを使って始まった関係は、本当に幸せな結末を迎えているでしょうか。私がこれまで見てきた多くのカップルの中で、長く愛し合っているふたりには、実はまったく逆の共通点がありました。
今日は、世間で言われている恋愛テクニックとは正反対のアプローチで、むしろうまくいったという実例をお伝えしていきます。もしかすると、あなたの恋愛観が少し変わるかもしれません。
まず最初にお話ししたいのは「最初から自分をさらけ出す」という考え方です。よく言われる恋愛テクニックでは、初デートで特別な演出をして「この人は他にいない」と思わせることが大事だとされています。秘密の夜景スポットに連れて行ったり、自分だけの世界を見せたりすることで、相手の心を掴むというものですね。
でも実際には、こうした演出に頼らず、等身大の自分を見せた方がうまくいくケースが多いのです。なぜかというと、演出された特別な体験は、その場では確かに印象に残ります。でも時間が経つにつれて「あのときの彼と今の彼は違う」というギャップが生まれてしまうからです。最初にハードルを上げすぎると、普段の自分を見せたときに相手をがっかりさせてしまう。そして何より、演出を続けることに疲れてしまいます。
ある三十代の男性は、それまで初デートでは必ず事前にリサーチした特別なお店を予約し、完璧なプランを用意していました。でもなかなか二回目のデートに繋がらない。あるとき、仕事が忙しくて何も準備できないまま待ち合わせの日を迎えてしまったそうです。仕方なく「今日は何も決めてなくて、一緒に探してもいい?」と正直に伝えたところ、相手の女性は「逆にそういうの新鮮で楽しい」と言ってくれた。ふたりでスマホを見ながらお店を探し、迷いながら街を歩いた。結局その女性と三年後に結婚したそうです。彼が言うには「あのとき初めて、素の自分を見せても大丈夫なんだと思えた」とのこと。特別な演出より、ありのままの自分を受け入れてもらえる安心感の方が、ずっと深い絆を作るのです。
次に「感情の波を作らない」ということについてお話しします。恋愛テクニックの世界では「間欠的強化」という言葉がよく使われます。既読スルーをしたかと思えば急に長電話をする。予測できない行動をとることで、相手をドキドキさせ続けるという方法です。確かに脳科学的には、予測できない報酬は強い興奮を生み出します。でもこれは、カジノで使われているのと同じ仕組みなのです。
この方法の問題点は、相手に与えているのが「愛されている安心感」ではなく「不安と興奮の繰り返し」だということ。最初のうちは夢中になってくれるかもしれませんが、人間はずっと不安定な状態に耐えられるようにはできていません。いずれ心が疲弊して、関係そのものが破綻するか、相手が精神的に不安定になってしまいます。
反対に、一貫して誠実な対応を続けた人たちは、じわじわと深い信頼関係を築いています。ある女性は、付き合い始めた彼氏がいつも同じペースで連絡をくれることに最初は物足りなさを感じていたそうです。「もっとドキドキさせてほしい」と思ったこともあった。でも一年、二年と時間が経つにつれて「この人は絶対に私を不安にさせない」という確信が生まれた。前に付き合っていた人は連絡がまばらで、いつも相手の気持ちを探ってばかりいた。でも今の彼といると、余計なことを考えなくていい。その安心感が、いつの間にか「この人と一生いたい」という気持ちに変わっていったそうです。刺激的な恋愛は記憶に残りますが、穏やかな恋愛は人生に残るのです。
「弱みを握らない」という姿勢も大切です。相手のトラウマやコンプレックスを聞き出して、それを完全に肯定することで「この人だけが自分を理解してくれる」と思わせる。これも依存を生み出すテクニックとしてよく紹介されています。でも、相手の傷を利用して自分への依存心を高めるのは、愛情ではなく支配です。
本当に相手を大切に思うなら、弱みを握るのではなく、相手が弱みを克服できるように支えること。そして相手の成長を心から喜べること。それができる関係こそが、対等で健全なパートナーシップなのです。
ある男性は、彼女から幼少期の辛い経験を打ち明けられたとき、その場で何か気の利いたことを言おうとはしませんでした。ただ「話してくれてありがとう。俺にできることがあったら言ってね」とだけ伝えた。そして彼女がカウンセリングに通い始めたとき、送り迎えを申し出た。彼女が少しずつ前を向けるようになったとき、一緒に喜んだ。彼は彼女の傷を自分の武器にしなかった。むしろ彼女が傷から自由になることを応援した。その姿勢が「この人となら安心して人生を歩める」という信頼に繋がったのです。
「焦らさない」ことの価値についても触れておきます。身体的な接触をコントロールして相手を焦らす。キスできそうでできない状態を続けることで相手の欲求を高める。そういったテクニックも世の中にはあります。でも、これは相手の気持ちを尊重しているのではなく、相手の欲求を操作しているだけです。
自然な流れで、お互いが心地よいと感じるペースで進んでいく関係。そこには駆け引きのストレスがありません。ある女性が話してくれたのですが、以前付き合っていた人は常に焦らしのテクニックを使ってきて、最初は確かにドキドキした。でも次第に「この人といると、いつも試されている気がする」と感じるようになって疲れてしまったそうです。今の旦那さんは、そういった駆け引きを一切しない人。自然体で接してくれることが、逆に特別に感じられた。身体の関係も、お互いが自然とそうなりたいと思ったタイミングで進んだ。何も計算されていない分、すべてが本物だと感じられたと言います。
「嫉妬させない」という選択も、実は効果的です。他の異性からモテることを匂わせて、自分の価値を高く見せる。相手に嫉妬心を抱かせて、より強く自分を求めさせる。こうしたテクニックは短期的には効果があるように見えます。でも嫉妬は、愛情ではなく所有欲を刺激するもの。嫉妬によって強まった感情は、愛というより執着に近いのです。
ある男性は、付き合っている彼女に対して、他の女性の影を一切見せなかったそうです。「モテる男」をアピールすることもなく、彼女だけを見ていることを態度で示し続けた。彼女からすると、最初は「この人、大丈夫かな。私以外に興味がないの?」と少し不安になったらしい。でも時間が経つにつれて、それが揺るぎない安心感に変わった。「この人は私を不安にさせるようなことを絶対にしない」という信頼。それは嫉妬から生まれる激しい感情とは違う、穏やかだけど確かな愛情でした。結果的にふたりは結婚し、十年以上経った今も仲が良いそうです。
「失う恐怖を与えない」ことも重要です。関係が深まってきた頃に別れを匂わせて、相手を必死に引き止めさせる。主導権を握るためのテクニックとして紹介されることがありますが、これは相手の心に深い傷を残します。一度でも「この人はいつかいなくなるかもしれない」という恐怖を植え付けられると、その不安は消えません。相手は常にあなたの顔色をうかがうようになり、対等な関係ではなくなってしまいます。
反対に「この人は絶対に自分を見捨てない」という安心感を与え続けた人たちは、とても穏やかで対等な関係を築いています。ある女性の話です。彼女の彼氏は喧嘩をしたときでも、絶対に「別れ」という言葉を使わなかったそうです。どんなに険悪な雰囲気になっても「俺たちの問題だから、一緒に解決しよう」というスタンスを崩さなかった。それが彼女にとって、ものすごく大きな安心感になった。「この人とならどんな困難も乗り越えられる」と思えた。恐怖で縛り付けるのではなく、安心感で包み込む。その方が、結果的に相手は離れられなくなるのです。
「性的な支配をしない」ということも、健全な関係には欠かせません。相手を圧倒的な体験で虜にするとか、他の人では満足できなくさせるとか、そういった発想自体が支配的なのです。本当に良い関係では、お互いが対等で、お互いの心地よさを大切にし合う。どちらかが一方的にコントロールするのではなく、ふたりで一緒に心地よい時間を作り上げていく。そういう経験を重ねることで、テクニックでは作れない深い絆が生まれます。
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