「駆け引きなんてしない方がいい」「誠実に向き合うべき」という恋愛論、確かに一理あります。でも実際のところ、適切な距離感やタイミングを意識した結果、関係が深まったというケースも少なくないんです。
今日は、世間で言われる「駆け引き=悪」という図式を、少し違う角度から見直してみたいと思います。すべてをさらけ出すより、程よい余白を残した方がうまくいった。即レスよりも、自分の時間を大切にした方が相手に大切にされた。そんな体験談を通じて、「駆け引き」という言葉の本当の意味を探っていきましょう。
自分の時間を大切にすることの魅力
よく「返信を遅らせるのは駆け引き」と批判されますが、実はこれ、見方を変えれば「自分の生活をちゃんと持っている証」でもあるんです。
仕事や趣味、友人との時間を大切にしている人は、スマホに張り付いてすぐに返信することができません。でもそれって、むしろ魅力的なことではないでしょうか。常にスマホをチェックして秒速で返信してくる人より、自分の時間をしっかり持っている人の方が、長期的には尊敬されやすいのです。
ある32歳の会社員の方は、マッチングアプリで知り合った女性とのやりとりで、あえて「即レス」をやめたそうです。仕事中は仕事に集中し、ジムに行っている時は運動に没頭する。返信は1日1〜2回、夜の落ち着いた時間にまとめて丁寧に返す。
最初は「遅いな」と思われたかもしれませんが、その代わり返信内容は充実していて、相手の話をよく覚えていて、会話を深める質問も含まれていました。結果として、「この人は自分の生活をちゃんと持っている自立した人だ」という印象を与え、3ヶ月後には真剣な交際に発展したといいます。
なぜ効果的なのか。それは、「私に全時間を使ってくれる都合のいい人」ではなく、「私も大切だけど、自分の人生も大切にしている魅力的な人」と映るからです。依存されるより、お互いが自立している関係の方が健全ですよね。
あえて全部を語らない余白の効果
「恋愛質問ばかりするのは下心が見える」と言われますが、逆に考えてみてください。初対面から自分のすべてを話してしまう人と、少しずつ自分を見せていく人、どちらに興味が湧きますか。
28歳のデザイナーの女性は、以前付き合っていた彼が「何でも話してくれる」タイプだったそうです。初デートで家族構成から過去の恋愛遍歴、将来の夢まで一気に聞かされ、2回目のデートでは友人関係や職場の人間関係まで詳細に語られました。
「誠実だな」とは思ったものの、3回目のデートの頃には「もう知りたいことがない」「新鮮味がない」と感じてしまったそうです。一方、今の彼氏は最初のうち、自分のことをあまり多く語りませんでした。
質問されたことには答えるけれど、自分から積極的にプライベートを開示しない。「何を考えているんだろう」「もっと知りたい」という気持ちが自然と湧いてきて、彼女の方から会いたくなる、連絡したくなる状態が続きました。
半年かけて少しずつ彼のことを知っていく過程が、まるで謎解きのようで楽しかったと言います。今では2年以上付き合っていて、「まだまだ知らない彼の一面がありそう」というワクワク感が続いているそうです。
これは計算された駆け引きというより、「相手のペースを尊重し、適切な距離感を保つ」という成熟したコミュニケーションです。全部を一度に出さないことで、関係が長く続く余地が生まれるのです。
他の選択肢を持つことの健全さ
「他の女性の影をちらつかせるのは性格が悪い」という意見もありますが、これも解釈次第です。本当に他の人との交流を楽しんでいる人が、それを隠す必要はあるのでしょうか。
35歳の営業職の男性は、趣味のボルダリングで知り合った女性とLINEをしていた際、あえて自分の日常を隠しませんでした。「今日は大学時代の友達(女性含む)と食事してきた」「職場の後輩たちと飲みに行く」といった日常を、普通に共有していたそうです。
これを「他の女性を匂わせている」と取る人もいるかもしれませんが、彼の場合は単に「自分の充実した人間関係」を見せていただけ。気になっていた女性は、むしろ「この人は色々な人に慕われている魅力的な人なんだ」「私だけに執着していない余裕がある」と感じたといいます。
結果として、彼女の方が「この人を逃したくない」と思うようになり、積極的にデートに誘うようになったそうです。付き合い始めて1年経った今でも、お互いが自分の友人関係を大切にしながら、健全な関係を築いています。
ポイントは「わざとらしさ」がないこと。本当に充実した生活を送っている人が、それを自然に共有することは、嫌味ではなく魅力になるのです。
急速な距離の詰め方より、段階的な関係構築
「一気に距離を縮めようとする長文LINE」が嫌われる一方で、適切なペース配分で関係を深めた例もあります。
26歳の教師をしている女性は、以前、毎日長文で連絡してくる男性に疲れてしまった経験があったそうです。質問攻め、自分語り、デートの誘い、すべてが一度に来て、「重い」「急かされている」と感じてしまいました。
対照的に、今の彼は最初の1ヶ月間、週に2〜3回、軽いメッセージを送るだけでした。「今日は天気良かったね」「前に話してた映画、観たよ」といった、返信しやすい内容。会う頻度も2週間に1回程度で、毎回2〜3時間ほど。
焦らず、相手の生活リズムを尊重し、少しずつ距離を縮めていく姿勢が、彼女にとっては「この人は私を追い詰めない」という安心感につながりました。3ヶ月経った頃、自然と連絡頻度が増え、会う回数も増えていったそうです。
このケースが示すのは、「駆け引き」というより「相手への配慮」です。一気に距離を詰めないことは、相手の心の準備を待つ優しさでもあるのです。
感情の起伏を作ることの意味
「テンションの上げ下げゲーム」が批判されますが、実は適度な感情の波は、関係を活性化させることもあります。
30歳のIT企業で働く男性は、付き合う前、意識的に連絡の密度に変化をつけていたそうです。1週間ほど毎日やりとりした後、3日ほど仕事に集中して連絡を控える。また数日間、楽しいやりとりをする。
これを「振り回している」と取られるリスクもありますが、彼の場合は必ず理由を伝えていました。「今週はプロジェクトで忙しくなるから、返信遅くなるかも」「落ち着いたからまた色々話したい」と、状況を共有していたのです。
相手の女性は最初、少し不安になったそうですが、彼がちゃんと理由を説明し、忙しい時期が終わればまた丁寧に向き合ってくれることに気づき、逆に「この人は嘘をつかない」「状況をちゃんと伝えてくれる」という信頼につながりました。
連絡が少ない期間があることで、「久しぶり」の喜びも大きくなり、会えた時の特別感も増したといいます。今では結婚を前提に同棲していて、お互いが仕事で忙しい時期も、適度な距離感を保ちながら良好な関係を維持しているそうです。
重要なのは、「わざと不安にさせる」のではなく、「自然な生活の波を正直に共有する」こと。そこにコミュニケーションがあれば、感情の起伏は関係を豊かにする要素になります。
決定権の委ね方が生む主体性
「全部相手任せ」が批判される一方で、相手に選択権を渡すことで、相手の主体性を引き出したケースもあります。
34歳の医療関係者の男性は、デートプランを立てる際、あえて「僕はどこでもいいよ、あなたが行きたいところに行こう」というスタンスを取っていました。これだけ聞くと無責任に聞こえますが、彼はその後にこう続けたそうです。
「僕は君と過ごす時間が大事だから、場所はどこでもいい。でも、もし迷うなら、こういうのはどう?」と、2〜3の選択肢を提示。相手が選びやすいように配慮しながらも、最終的な決定権は相手に委ねていました。
相手の女性は最初、「優柔不断な人かな」と思ったそうですが、実際に会ってみると、彼女が選んだ場所や店を全力で楽しんでくれる姿に好感を持ちました。「自分の意見が尊重されている」「自分の選択を喜んでくれる」という実感が、彼女の自己肯定感を高めたといいます。
数ヶ月後、彼女の方から「次は私があなたの好きな場所に行きたい」と言い出し、お互いが主体的にデートを提案し合う関係になりました。今では週末ごとに交代で行き先を決め、互いの趣味や興味を共有する楽しい関係を築いています。
ここでのポイントは、丸投げではなく「尊重」の姿勢。相手の好みや意思を大切にする結果として選択権を渡すことは、相手を大切にする行為になるのです。
駆け引きの本質は「操作」ではなく「配慮」
ここまで見てきた成功例に共通するのは、相手を「操作」しようとしていないことです。自分の生活を大切にする、適切な距離感を保つ、相手のペースを尊重する、正直にコミュニケーションを取る。これらはすべて、健全な人間関係の基本です。
「駆け引き」という言葉が嫌われるのは、そこに「相手を思い通りにコントロールしたい」という意図が透けて見えるからです。でも、自分も相手も大切にしながら、適切な距離感やタイミングを意識することは、むしろ成熟した大人の恋愛に必要なスキルなのかもしれません。
即レスしないことは、自分の時間を大切にしているから。全部を語らないのは、相手のペースで知ってもらいたいから。他の人間関係も大切にするのは、健全な社会生活を送っているから。連絡の密度に波があるのは、仕事や生活の現実があるから。
これらを「駆け引き」と呼ぶなら、それは悪いことではないのです。大切なのは、その背景に誠実さと相手への配慮があるかどうか。
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